深大寺は天平寶字年間(758年~764年)に淳仁天皇より「浮岳山深大寺」の勅額を賜って以来、大般若転読を永式と定める鎮護国家の道場でもあり、今も例年十月に深沙大王堂で修される大般若経(だいはんにゃきょう)六百巻の転読会は、深大寺の年中行事のなかでも最重要の法儀として、住職以下総出仕にて厳修されます。
堂内には玄奘と向い合って鬼神の姿の深沙大王像が描かれている釈迦三尊十六善神図が掲げられます。深沙大王は本来、疫病を除き、魔事を遠ざける効能のある神とされています。唐の玄奘三蔵が仏典を求めて天竺に赴く途次、砂漠での難を深沙大王が救ったという説話は有名ですが、特に深大寺では、開創縁起にちなみ縁結びの神様として広く信仰をあつめているのです。